
前身の体験型宿泊施設「EJアニメホテル」から、隣接の角川ミュージアムに寄せた「ライブラリーホテル」へとリブランディングする——このコンセプト自体は、私たちが参加する以前からすでに決定していました。そこで私たちが向き合うことになったのは、「角川ミュージアムの『本棚劇場/エディットタウン』を模するには、莫大な本が必要になるのでは」という不安です。
クライアントであるホテルブランド運営会社様が当初思い描いていたのは、大量の本による雑然とした「編集の多様性」の表現でした。角川ミュージアムの中核をなす「本棚劇場/エディットタウン」の、世界観を支える重要な要素です。これをホテルでも再現しようとすると、相当な物量の本が必要になります。しかしこのホテルの既存空間は、格子状の天井やオーセンティックなホールなど、非常に端正なしつらえで、空間そのものがすでに「編集済みのパッケージ」を構成しているように感じられました。そのため、「本棚劇場」さながらのカオスを持ち込むよりも、この端正さを活かすほうが「編集」という行為そのものを際立たせられるのではないか——そう確信したことが、プロジェクトの出発点になりました。







